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【気候変動】クライメイト・グループの活動

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クライメイト・ウィーク・ニューヨーク2022 が、9月9日から11日のあいだ、米国のニューヨーク市で対面及びオンライン方式により実施された。これは毎年開催される国際NGOによる世界最大の気候に関するイベントである。このイベントのハイライトは、内容の濃いパネルディスカッションである。あるパネルディスカッションでは日本企業のHitachiが参加しており存在感があった。

Climate Group(クライメイト・グループ)

このイベントを企画したClimate Group(クライメイト・グループ)は国際NGO(非営利団体)で2003 年に設立された。世界的規模の活動グループでロンドン、ニューヨーク、ニューデリー、アムステルダム、北京に事務所がある。事務局の機能があるUnder2 Coalition は、世界の260 以上のグループや機関で構成されている。登録メンバーとしては17 億 5000 万人となっており世界的な経済活動の半分と関係を築いている。

今年開催された3日間のパネルのアジェンダとパネリストから見えてくるのは、気候変動問題の専門団体としての実績があり、世界規模で大きな流れを作ってきた団体が目立っている。

パリで開催された国連気候変動会議 (COP21): パリ協定の目標値

Climate Week NYC 2022のハイライトは、何といっても10 のテーマをカバーするパネルディスカッションである。テーマは都市環境、エネルギー、環境正義、運輸、金融、持続可能な生活、自然、政策、産業、食品など多岐に亘っている。3日間のパネルディスカッションに参加して感じたことは、Climate Groupが2030年までに目指すNet Zeroに向けて現状分析を行い、どのような取り組みを行っている、また今後の取り組み方を報告したたがはっきりとした数値目標を掲げて活動していることである。この数値目標は国連、世界の国々の政府、グローバル企業などが合意したパリ協定の目標値である。すなわち求められているのは、2030 年までに地球温暖化を 1.5°C 以下に抑えるためには、2030 年までにCO2排出量を  45% 削減する、2050 年までに正味ゼロ(Net Zero、ネット・ゼロ)にすることである。

Climate Week NYC 2022のアジェンダ

ここでは、Climate Week NYC 2022のパネルディスカッションのアジェンダを以下に記述しておく。アジェンダをみるとイメージが把握しやすい。

  • インドの目指すCO2排出ゼロへのロードマップ
  • 大胆なリーダーシップをとる
  • アカウンタビリティ(説明責任)を負う
  • ローカル及びグローバルに取り組む
  • クリーンエネルギーとグリーン経済への移行を加速する
  • 2040 年までにネットゼロ ・カーボンを目標にした活動
  • ゼロ エミッション車への移行を推進する上でグローバル ・パートナーシップが果たす役割
  • 複雑で関連性のある危機への対応
  • 不確実な世界におけるエネルギーの確実性
  •  サプライチェーンの排出削減をリードする人は誰か?
  •  環境と健康の公平性の促進
  • サプライヤーの気候に関する教育と行動を加速する

気候変動問題の取り組みの遅れ

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気候変動の原因が「人間の活動による盛んなCO2の排出が原因」について慎重にならなければならないと唱える学者もいるが、信頼性の高い学術ジャーナルには政策立案などアクションを起こすのに十分なエビデンスがある。現状は既に極限状態にあると考える学者は多い。一刻の猶予もないと考える米国の農民の声が報道で伝えられている。政治家にとって、気候変動問題解決にむけて早急に進めなけならない理由は、2022年に起きたパキスタンの水害、米国カルフォルニアの森林火災などがあり、政治家は気候変動問題について早急な対応を求められている。

気候変動について恐怖を感じているのは政治家だけではない。ロイド財団によると、世界の人々の 41% が気候変動を自国にとって「非常に深刻な脅威」、28% が「やや懸念している」と感じていると報告している。

Climate Week NYC 2022に参加して「気候変動問題に取り組みはじめたのが遅すぎた」との共通認識があり、この後れをいかに取り戻すのかが課題である。

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