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【アントロポセンの食】地球レベルのサステナブルなプラント・ベースト・ダイエット

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“アントロポセンの食 サステナブルなフードシステム”の由来

2019年1月 アントロポセンの食、地球のサステナブルなフードシステムにあった人類の食のあり方を伝える論文が世界五大医学雑誌のひとつThe Lancet(ランセット )に掲載された。論文の英語のタイトルは  Food in the Anthropocene: the EAT-Lancet Commission on healthy diets from sustainable food systems である。世界で大きなインパクトを与えているこの論文は、米国を含めEU加盟国など多くの国で食のガイドライン策定で方向づけするガイドラインとなっている。この記事ではこの論文について概説したい。

新しい地質時代の食のあり方は気候変動を考慮したものでなければならない

地球は新しい地質時代である人新生に入ったといわれており 地球の人口爆発や環境破壊が一層加速している。現在 この提案された 人新生の食は ハーバード大学のウォルター・ウィレット教授が率いるランセット_EAT委員会が導き出したものである。この委員会は 多岐に亘る専門性を持つ学者で構成されれおり、ミッションは新世紀の食のあり方を策定し提案することであった。新しい地質時代の食のあり方は気候変動を考慮したものでなければならない。

人口爆発と温室効果ガス

現在 この新しい地質時代人新生については地質学分野では仮説として議論がつづいている。しかし 私たちの多くは人間の活動による地球環境破壊の危機は感じている。そして 2014年人口増加や食糧生産におけるCO2排出量の問題がNature(ネイチャー)に掲載された論文でクローズアップされ 問題解決への模索は急速に広がった。アントロポセンの人類の食のあり方は そのような流れの中で提案されたのである。

プラント・ベースト・ダイエット

Vegetables

Alex Hudson from Unsplash

アントロポセン食の提案は 国連の 2050 年 の世界の推定人口が 100 億人に達するこ とや加速する気候変動など環境破壊に対処するたのフードシステムが模索 されてきた。

ランセット_EAT委員会が提案したアントロポセン食の内容は プラント・ベースト・ダイエット (Plant-based diet)となっており、野菜や豆類など主に植物性の食品で構成されている (肉も少しは含まれているが、基本は植物由来)。この提案されたダイエットは高いレベルのエビデンスに基づいて導き出されている。そこに至る研究のプロセスは 食事と主に心疾患などの生活習慣病の死亡リスクとの間に因果関係が成り立つエビデンスを世界中から集め、包括的にレビューしたものである。

ランセット_EAT委員会が提案しているダイエットでは、動物性食品は推奨されていない。動物性食品に含まれる飽和脂肪酸が健康に与える悪い影響や食肉生産におけるCO排出による地球環境への悪影響が懸念されるからである。2006年、国連のFAOが発表した研究レビューのなかで、畜産業が気候変動に大きく影響を与えていると警告している。

よく引き合いに出される話題として、畜産業における飼料交換比率がある。増加した体重の量と動物が消費する飼料の量の比率のことである。 国連農業機関FAOの試算では、牛肉1キログラム生産するには約6キログラムの飼料が必要である。これは鶏肉や豚肉の場合では異なる。この問題については 国連が過去何十年も前から問題にしてきている。このトピックは  50年以上も前から話題になっていたが 今では 畜産業とCO2排出量はコンピューターでシミュレーションが正確に行えるようになってきたこは当然のことであろう。

エビデンスにはレベルがある

公衆衛生政策を含めて国際機関や国が行う政策は 高いレベルのエビデンスに基づいて策定されなければならない。例えば 食事で病気を予防する政策を考える時、食事と病気(がん、2型糖尿病、心疾患など)のリスクとのあいだには その因果関係が成り立つエビデンが必要である。エビデンスにはレベルがあり、高いレベルのエビデンスを得るには目的にあった研究方法が必要になる。しかし そう言った研究の実施には莫大な時間と費用がかかる。アントロポセンの食のあり方は 世界中の異なる専門性を持った学者がランセットーEAT委員会を構成し 世界で行われた多くの研究から得られた高いレベルのエビデンスを検証し導き出されたものである。

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記事の著者 吉澤和子

健康や持続可能な生態系につながる食

“アントロポセンの食のあり方:持続可能なフードシステムにあったヘルシーダイエット”は地球の続可能な生態系の維持につながり しかも 生活習慣病を予防するために策定されたものである。総論は賛成だが、自分が実行するという各論になると 抵抗を感じる人は少なくないかもしれない。しかし 人間が行ってきた壊滅的な開発や加速する人口増加をそのまま放おっておいては 地球の生態系維持は難しいことが明らかになってきた。食は習慣であり 変えることは難しい。自分が食べているものについては 病気になってはじめて気づく人も多い。アントロポセンの食への移行は 政治 経済 農業 教育など あらゆるレベルのステークホルダーを巻き込んでいかなければならない。

参考資料

  1. Lewis SL, Maslin MA (2015) Defining the Anthropocene. Nature 519, 171-180.
  2. Sterner T, Barbier EB, Bateman I et al. (2019) Policy design for the Anthropocene. Nature Sustainability 2, 14-21.
  3. Tilman D, Clark M (2014) Global diets link environmental sustainability and human health. Nature 515, 518-522.
  4. Willett W, Rockström J, Loken B, et al. (2019) Food in the Anthropocene: the EAT-Lancet Commission on healthy diets from sustainable food systems. Lancet (London, England) 393, 447-492.
  5. Katie Pavid, What is the Anthropocene and why does it matter? National History Museum https://www.nhm.ac.uk/discover/what-is-the-anthropocene.html
  6. Livestock’s Long Shadow, FAO, 2006.http://www.fao.org/3/a0701e/a0701e00.pdf

この記事の著者 吉澤和子 2017年よりハーバード大学客員サイエンティスト 国際公務員、WHOコンサルタント, 大学教員を経て現在に至る。現在の研究分野は栄養疫学

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