著者:吉澤和子(Kazuko Yoshizawa)
はじめに
以前、「国連コンサルタントの戦略的アプローチ:TOR」というタイトルの記事を書きました。TORの内容を正しく理解することは、プロジェクトやミッションの成功に不可欠です。例えば、WHOやUNICEFなどの国際機関からコンサルタントを依頼される場合、通常はTORが提供されます。依頼を受ける側はTORの内容に合意してサインするため、仕事を依頼する側も受ける側も、TORに記載された内容を履行しなければなりません。したがって、TORを理解していない場合、さまざまなリスクが発生する可能性があります。その理由や影響について詳しく見ていきましょう。
方向性や目標の誤解
依頼される仕事には、必ずプロジェクトやミッションの方向性や目標が誤解される可能性があります。TORはプロジェクトの骨子を示すものであり、それを理解することなく作業を進めると、本来の目的から外れた活動や方針が取られる可能性があります。これは、プロジェクトの成果や目標達成に大きな影響を与える可能性があります。
役割や責任の混乱
さらに、ToR(Terms of Reference)には、プロジェクトやミッションの方向性や目標に到達するために必要な、依頼される側の役割と責任が明確に定義されています。ToRを理解していないと、役割や責任が混乱する可能性があり、プロジェクトチームのメンバーや関係者が自分の役割や責任を正確に把握できなくなることがあります。このため、作業の重複や漏れ、責任の回避などが発生しやすくなり、プロジェクトの効率性や成果に悪影響を及ぼすことがあります。
期限の遅延や目標の達成困難
期限の遅延や目標の達成困難
さらに、期限の遅延や目標の達成困難が生じる可能性があります。ToR(Terms of Reference)にはスケジュールや目標が明確に定義されており、それに基づいて作業が進められるべきです。しかし、ToRを理解していないと、適切なタイミングや優先順位を見誤ることがあり、結果として期限の遅延や目標の達成が困難になる可能性があります。
コミュニケーションの障害
また、TORを理解していないと、コミュニケーションの障害が発生する可能性もあります。プロジェクトやミッションの進行においては、関係者間での円滑なコミュニケーションが重要です。TORを把握していない場合、意思疎通が困難になり、情報の共有や意見の交換が滞ることがあります。これは、プロジェクトの進行や問題解決に支障をきたす可能性があります。
仕事を受ける際の重要ポイント: TORの理解と柔軟性
仕事を受けることに同意してサインをしたら、約束をまもることを期待されています。実際に仕事を引き受けても、フィールドに出たら何かと障害が待ち構えているかもしれません。仕事を引き受ける前にTORをよく理解し、自分の役割や責任を明確に把握することが重要です。また、現場で問題が発生した際には、すぐに上司や関係者に報告し、協力して解決策を見つける姿勢が求められます。プロジェクトの成功に向けては、柔軟性とコミュニケーションが不可欠です。
まとめ
プロジェクトやミッションの成功に向けては、コンサルタント(専門家)がTORを正しく理解し、その内容を十分に把握することが不可欠です。TORを理解することで、プロジェクトの方向性や目標を正しく把握し、役割や責任を明確にすることができます。これにより、期限や目標の達成に向けて効果的に作業を進めることができます。また、TORを理解することで、関係者間での円滑なコミュニケーションが促進され、プロジェクトの成功に向けた協力が確保されます。
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