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ポストSDGsとは?経緯とその重要性

持続可能な未来へ:明照山の豊かな自然が示す、ポストSDGsの可能性
Living in harmony with nature is essential for building a sustainable future. The beautiful scenery of Myoshoyama demonstrates that possibility. Photo by akira-teruyama

ポストSDGsとは?経緯とその重要性

公開日: 2024年6月13日

最終更新日: 2025年4月14日

ポストSDGsを提案する前にすること:経緯と目標到達度の検証

最近、SDGs(持続可能な開発目標)が話題になることは珍しくありません。あるYouTubeチャンネルで、「ポストSDGsは何か?」という質問がMCからパネリストに突然投げかけられるシーンがありました。しかし、そんな質問を急に投げかけられたパネリストは戸惑いを隠せない様子でした。この質問に答えるには、まずSDGsが策定された経緯を理解し、次にSDGsで設定された目標の到達度を検証することが必要です。

SDGsはMDGsの懸案事項を引き継いでいる

まず、SDGsの策定の背景についてですが、SDGsは2015年に突然生まれたものではなく、その前段階としたMDGsといったよく似た目標がありました。MDGs(Millennium Development Goals: ミレニアム開発目標)は2000年から2015年にかけて実施され、すべての国を対象としていましたが、特に発展途上国に重点を置いていました。その目的は、貧困、飢餓、疾病、非識字、環境悪化、女性差別といった多様な課題に取り組むことであり、特に発展途上国のニーズに深く関わるものでした。MDGsで解決しきれなかった課題はSDGsへと引き継がれ、新たな目標も加わりました。こうして、2000年から2015年のMDGs、そして2015年から2030年のSDGsへと流れが続いています。

歴史的文脈の理解が必要な理由

SDGsはMDGsの成果と課題を踏まえて策定されたものであり、その評価においてMDGsの達成状況を考慮することは、持続可能な開発の進展を理解する上で不可欠です。MDGsで未達成だった目標がSDGsに引き継がれていることを考慮すれば、評価の際にMDGsの成果と課題を含めることは理にかなっています。

1.評価の一貫性と比較可能性 SDGsの評価において、MDGsの目標や指標を参照することで、評価の一貫性と比較可能性が向上します。これにより、持続可能な開発の進展をより正確に把握し、効果的な政策立案が可能になります。

2.政策立案への示唆 MDGsの成果と課題を考慮することで、SDGsの評価結果が政策立案においてより有用な示唆を提供する可能性があります。特に、MDGsで未達成だった目標に対する取り組みの強化や、新たな課題への対応策の検討に役立ちます。

事例:SDGs目標13、気候変動

次に、気候変動を例にとって説明します。気候変動は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に関連しています。目標13は、気候変動の影響を少なくし、温室効果ガスの排出を減らすための具体的な対策を取ることを目指しています。この目標には次のようなことが含まれます:

1. 気候関連の災害への強さと適応力を高めること

2. 各国の政策や戦略に気候変動対策を取り入れること

3. 気候変動についての知識を広め、対応能力を高めること

さらに、個々の市民や企業も、この目標に貢献するための取り組みに積極的に参加することが期待されています。例えば、エネルギー効率を向上させる、省エネルギー製品を使用するなど、日常生活の中で実践できる方法があります。また、環境教育を通じて、気候変動に対する理解を深め、持続可能な行動を促すことも重要です。これにより、全体としての気候変動への対応力が強化されます。

取り組みの中で、再生可能エネルギーの利用を増やすことも考えられますが、昨今の太陽光パネルの無秩序な設置が気になります。環境に対する悪影響が懸念されるため、環境アセスメントを早急に行うことが必要です。また、再生可能エネルギーの導入に関しても、具体的な目標を設定し、その達成に向けた計画を明確にすることが求められます。

人類の食のあり方が気候変動に影響する

著者は、過去に、「アントロポセンの食のあり方:持続可能な人類の食」というタイトルの記事を書いたことがあります。地球の持続可能なフードシステムにおける人類の「食」のあり方を伝える論文が、2019年に世界五大医学雑誌の一つであるThe Lancet(ランセット)に掲載され、人類の食のあり方が、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」に大きな影響を与えることが明らかにされていたからです。「アントロポセンの食」は、地球の持続可能な食生活を実現するために不可欠で、植物ベースの食事や低炭素食は温室効果ガスの排出を減少させ、気候変動の影響を軽減し、しかも人の病気のリスクを軽減し寿命を延伸させる根拠も示されました。さらに農業の持続可能性が向上し、それが気候変動に対する緩和策としても提案されました。食のあり方さえもSDGsと深く関連していることを知り、考えさせられるインパクトのある論文でした。

ポストSDGsの検証と浮かび上がる課題

さて、「ポストSDGsは何か?」に戻りますが、今後、国際機関が中心となってSDGs実施中の過程で集められたデータをもとに検証されていきます。その過程で多くのことが分かってきます。これをもとにポストSDGsが浮かび上がってくると思います。

しかし、直感でも「ポストSDGsは何か?」に対して、貧困、飢餓、疾病、非識字、環境劣化、女性差別はやはり外せない分野だと思います。

中でも、気候変動は他の分野にも大きな影響を与えることが分かっています。例えば、世界保健機関(WHO)は地球温暖化が、世界の健康問題にとって最も大きなリスクであると警告しています。

そして、貧困にある人が気候変動の影響を最も強く受けやすいことも分かっています。

SDGsとその前身およびポストSDGsの方向性

SDGsの評価においては、MDGsの成果と課題を考慮することが重要であり、持続可能な開発の進展を理解する上で極めて有益な視点を提供しています。SDGsは2015年に策定されましたが、その前身であるMDGsは2000年から2015年にかけて実施され、貧困、飢餓、疾病などの課題に取り組みました。一部の未解決の問題はSDGsに引き継がれ、現在も継続的な対応が求められています。ポストSDGsの議論においては、これまでの検証結果をもとに今後の開発目標の方向性が見えてくると考えられます。したがって、今後の評価や政策立案においては、MDGsとSDGsの連続性を踏まえた統合的なアプローチが求められます。

コメント

  1. Kazuko Yoshizawa 吉澤 和子 より:

    this is a trial