著者:吉澤和子(Kazuko Yoshizawa)
本記事は、2021年に書いた「オンライン学会の進化」の続編です。以前の記事はこちら → オンライン学会の進化:アメリカ栄養学会の事例から(2021年版・アーカイブ)
はじめに
著者は2017年から2023年の間、ハーバード大学で研究をしていた時、何回かヨーロッパや中近東での国際学会発表へ招待されたことがある。主催者は対面での参加を希望し、費用の負担の申し出もあったが、時間的なコストを考え、オンラインで発表することを選んだ。新しいシステムに感謝したものの、対面での交流を重視する主催者の意向を知った。コロナから6年を経て、国際学会は急速にデジタル化が進んでいる。この記事では、現在の国際学会におけるデジタル化の進展と、それが研究者や参加者に与える影響について解説する。
ハイブリッド型学会の普及
現在、多くの学会では、対面参加とオンライン参加を組み合わせたハイブリッド型が主流となっている。これにより、地理的な制約を超えて、世界中の研究者が同じ場で知識を共有し、意見を交わすことができる。特に、物理的な距離に制約されることなく、多様なバックグラウンドを持つ研究者が参加できることで、新たなアイデアや視点が生まれる可能性が高まっている。
技術の進化と研究発表の変化
学会での研究発表は、従来のポスター発表や口頭発表から、デジタルポスター(ePoster)やプレゼンテーションソフトウェアを活用した形式に進化している。これにより、研究内容を視覚的に分かりやすく伝えることが可能になり、参加者も興味を持って学びやすくなっている。また、録画や配信機能の導入により、参加者は発表後もいつでもコンテンツを視聴できるため、学びの機会が増加している。
新たな交流の形
デジタル化により、学会での交流方法も変化している。チャット機能やブレイクアウトセッションを通じて、参加者同士が気軽にコミュニケーションを取れるようになった。これにより、対面での交流に比べて敷居が低くなり、初めての参加者や国際的な研究者とのネットワーキングが促進されている。
まとめ
国際学会の形式は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて大きく変化しており、デジタル技術の導入が進んでいる。ハイブリッド型の学会では、地理的な制約を超えた参加が可能となり、研究者同士の交流が活発になる。今後もデジタル化が進むことで、学会の形式や研究発表の方法がさらに進化し、より多くの研究者が参加しやすい環境が整うことが期待される。
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